すいてる車内で席をゆずるワケ

若いころ、電車の中でのある光景を
不思議に思っていました。
お年寄りが乗ってくると、
ドア付近に座っている人が、
サッと立って声をかける。
席はたくさん空いているのに、です。
その優しい人は、多くは中高年でした。
やがて私も中高年となり、
親が高齢者となり、要介護者となり、
一緒に電車に乗るようになって、
“不思議”の意味がわかりました。
間に合わない。
中ほどに座っていると、
ドアまで歩くのに時間がかかるから、
電車が止まる前に降りる準備が必要なんです。
足腰の弱いお年寄りが、
走行中に席を立ったり、
降りそびれないように急いだりすると、
転んでしまう危険がある。
歩く距離だって短いほうがいい。
ドア付近に座れると、ありがたいのです。
お年寄りに限らず、
席を必要としているすべての人に対し、
ドア付近の席をゆずる思いやり。
あのときは想像力が足りなくて、
その意味に気づけなかったけど、
見知らぬ人生の先輩たちから
教えてもらっていたのです。
見回してみれば、日々の生活の中に、
「思いやりってあるんだな」と気づいた出来事でした。
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