生きづらさ 今と昔

高校を中退しちゃったので、
もう一度勉強したいんです。
教えてもらえますか。
生徒募集の広告を見て連絡をくれたのは、
私より3つ、4つ若い、20代半ばの社会人でした。
25年ほど前のことです。
私は家庭教師を引き受けることにしました。
勉強のことは自分で決めたようでした。
美大か芸術系の専門学校に行くという目標があり、
授業料もバイト代から払ってくれました。
勉強のことで、自分自身のことで、
時おり涙ぐむこともある繊細な生徒さんでした。
趣味の写真を見せてもらったことがあります。
あまりの芸術性の高さに、驚きました。
被写体が何だかわからないモノクロ写真、
自身の内面を投影したかのような写真…。
ある日、病院に行ったと告げられました。
脳波に異常がある
薬を飲むことになりました
それからほどなくして、
家庭教師を辞めたい、と言われました。
私は了承しました。
たぶん
生きづらかったろうと
思います。
人と違うと、はじかれてしまう時代。
多様性だとかインクルーシブだとか、
最近はそんな言葉をよく聞きます。
人々の意識は変わりつつあるかもしれませんが、
生きやすい世の中になったとは、
まだ言えないようです。
逆に情報が多すぎて、
こう生きなければいけない、
というマニュアルにとらわれて、
自分を見失うあやうさもある気がします。
マニュアルは自分で作り、
それを認めてもらえる社会になればいいと思います。
もっと彼の話を聞いてあげればよかった。
納得のいく人生を送っていることを、願うばかりです。
投稿者プロフィール

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